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「ディープラーニングとビジネスプランの甲子園」へ DCONの今後の発展に期待

女子メンバーの活躍が光ったDCON2021
ダイバーシティの重要性を感じた

―DCON2021にご協賛いただいた理由についてお聞かせください。

これまで日本のモノづくりの強みの源泉とされていた「現場力(勘・コツ)」をさらに高める上で、デジタル化、AI活用は有効な手段になると考えています。DCONはそうした当社の認識とも合致するものです。

また、高専生が解決すべき課題を自ら探し出し、自身が持つ技術知識、技能だけでなく、様々な技術を活用し、事業性を伴う施策を創出していく過程は興味深く、協賛を決めました。

―DCON 2021の内容や、今回の結果などを踏まえた感想をお聞かせください。

DCON2021では、地元の産業や出来事、お年寄りやハンディキャップのある人への気遣いなどに基づいたテーマ選定が多く、そこからAIを使って少しでも社会に貢献しようとする真摯さに感銘を受けました。

また、今回は女子メンバーがいきいきと活躍していることも印象に残りました。「自分が社長になる」と言ったことが企業評価につながったチームもあり、ダイバーシティの重要さを感じました。

今回、作品が表彰に漏れたときのチームの落胆の大きさや、選考されたときの喜びを見ていると、かなり真剣に時間をかけてビジネスプランを練ってきたことがよく分かりました。DCONが「ディープラーニングとビジネスプランの甲子園」と呼べるような大会に育っていくことを期待しています。

―貴社のAIを活用した事業や取り組みをご紹介ください。

AGCは、日本の近代化に必要不可欠な素材である「ガラス」を製造するために創業された会社です。創業から今日まで110年以上(今年で113年)にわたり、素材メーカーとして時代のリーディング産業に必要な素材を提供することで、イノベーションを支え、社会の発展に貢献してきました。

私たちは素材メーカーとして培ってきたモノづくりの力を、AIを含むデジタルの力でさらに高め、お客様や世の中に貢献する新たな価値を創造していきたいと考えています。

たとえば、以下のように幅広い分野でAIを積極的に活用しています。

(1) 製品の品質検査の精度向上
画像データによって欠点検出能力を向上させ、生産性・製品品質向上の両立を実現
(2) 素材開発(マテリアルズ・インフォマティックス)
研究開発の劇的な競争力強化、開発のスピードアップ
(3) 技能伝承―熟練者の「勘・コツ」を「形式知」として可視化(匠Kibit)
AIで生産ではなく、AIを使って人を育てる
(4) マーケティング
デジタルマーケティングの領域でAIを活用

幅広い視野、複眼的な視座を身に付け
技術で社会に貢献することのできる人財に

―今後のAIを基軸とする社会変化を踏まえ、高専生やエンジニアに今取り組んでほしいことなどをお聞かせください。

これからの製造業は、モノづくりだけでは生きていけません。私たち自身の働き方はもとより、環境・エネルギー問題など社会課題の解決を目指して企業として何ができるかが問われています。 

実際のビジネスでは技術の良し悪しは大事ですが、ビジネスになる適切な課題を探す事も非常に重要です。そのためには、皆さんが勉強している数学、化学などの理数科目だけでなく、文学、哲学、歴史、芸術などの人文学的な素養を持つことが重要になります。 学生時代に、是非取り組んでみてはどうでしょうか?さらに良いビジネス課題を探索する力をつけることができると思います。

―高専生たちへエールをお願いします。

高専生の「自分の手を動かしてやってみる」姿勢は、モノづくりの中で非常に大事です。その点とディープラーニングをどう組み合わせていくか、期待しています。また、AIを使って単にモノづくりの効率、生産性を高めるだけではなく、社会課題の解決につながるようなテーマにチャレンジしている学校が数多く見受けられることを、頼もしく思っています。

5年間しかない限られた時間。その中で勉強、部活、なんでもいいので、学生だからこそできる広い経験、友情を育んでほしい。その上で、コンピュータやAIには決してできない、大きな夢・目標を抱いてください。そして、ネットから得た細切れの、すぐ役に立つけれどすぐ使えなくなる知識ではなく、本や授業から得た深い教養、大樹のように体系的な知識を身に付けてください。そうした中で、技術で社会に貢献することのできる人財になるための幅広い視野、複眼的な視座を身に付けてほしいと考えています。

そんな皆さんと、当社で一緒に働けることを楽しみにしています。