AGC株式会社
経営企画本部 スマートAGC推進部 部長 池谷卓氏(写真左)
経営企画本部 企画・管理グループリーダー 湯浅修一氏(写真右)
福井高専と鳥羽商船高専を社内セミナーに招待
AGC社員約200名が聴講する
――高専DCON 2022にご協賛いただいた理由についてお聞かせください。
当社はDCON2021から協賛していますが、昨年の本選で各校の発表を見て、どの学校もAIをうまく活用して、ビジネスプランを練り上げていることが良く理解できました。また、それらが企業から見ても高く評価できる内容となっていると共に、学生の皆さんの真摯な取り組み姿勢に、CTOをはじめ当社の観覧者は大変感銘を受けました。
この素晴らしい内容を社員に広く共有してほしいと考え、最優秀賞を受賞した福井工業高等専門学校、AGC賞を差し上げた鳥羽商船高等専門学校の皆さんには、当社の社内セミナーで講演をしていただきました。約200名の社員が聴講し、このときも講演内容に留まらず、「高専生たちの一生懸命な姿に感銘した」との感想が多数寄せらました。
これらのことから、当社はDCON2022にも継続して協賛させていただくこととした。
――現在、日本企業が競争力を高めていくなかで、既存事業に対するAI技術の利活用、または融合は不可欠なものとなりつつあります。そのような中で、高専生のような人材はどのようなことに貢献できるとお考えでしょうか?
日本企業のものづくり、研究開発の力を高め、グローバル市場での競争力を向上させる上でAI技術は欠かせません。例えば、当社では製造設備の安定稼働、製品品質の向上、材料・組成開発などの領域をはじめ、熟練技術者の知見共有などの領域でもAIの活用を積極的に進めています。
高専生の皆さんにはこれらをはじめ、様々な領域でこれまで培ってきた技術・技能を土台として、周囲とも協力し粘り強く課題解決に取り組むことで、日本企業全体はもとより、“素材の会社“として当社が持続的に成長していくことに貢献してほしいと考えています。
グローバルレベルの課題の解決に
果敢に挑戦する作品を期待
――日本のものづくりに多大な貢献をしてきた高専人材ですが、御社にとって高専人材とはどのような人材であると期待されていますか?
当社には現在、高等専門学校から入社された方が約180名在籍し、それぞれものづくり、製品開発など当社の根幹となる中心的な領域で広く活躍しています。なかには社内に40人しかいない上級データサイエンティストとして、ガラスの生産プロセスの改善・進化に取り組んでいる社員も存在します。
高専で培ってきた技術・技能を活かして、当社社員とOne Teamで、様々な課題に粘り強くチャレンジする人財、技術を深堀りするだけにとどまらず、世の中や社会の動き、変化から、解決すべき課題を見つけ出すことのできる人財であることを期待しています。
――年々起業評価額や投資額の最高額が上がり、作品の水準も上がっています。DCON2022の参加チームや作品には、どのようなことを期待されていますか?
先人の作った制約にとらわれず、DX技術をうまく適用することで、自分たちの地域の課題を解消したり、身近にいる弱い立場の人たちの助けになるようなソリューションを産み出してほしいと考えています。また地球環境や人種差別、ジェンダー差別のようなグローバルレベルの課題の解決にも果敢に挑戦するような作品を期待しています。
――高専生へのエールや、学生の今だからこそ取り組んでほしいと思うことをお聞かせください。
5年間しかない限られた時間。その中で勉強、部活、なんでもいいので、学生だからこそできる広い経験、友情を育んでほしいです。その上で、
・AIだけでは決してできない、大きな夢・目標を抱いてほしい。
・ネットから得た細切れの、すぐ役に立つけれどすぐ使えなくなる知識ではなく、本や授業から得た深い教養、大樹のように体系的な知識を身につけてほしい。
・高専の特徴でもある、膨大な量の実験から、手を動かし、「やってみる」という感覚を養ってほしい。
・新型コロナに象徴される世の中の大きな変化に、技術と教養で立ち向かう高い志を持ってほしい。
そうした中で、技術で社会に貢献することのできる人財になるための幅広い視野、複眼的な視座を身につけてほしい。そういう皆さんと一緒に当社で働けることを楽しみにしています。