DCON2022を振り返って

進化し続けるテクノロジーを上手く活用
参加チームのクオリティ向上を実感

KDDI株式会社
経営戦略本部 副本部長
江幡智広氏

課題解決の主役は地域でICT化やDXを推進する人材
高専生に未来を担う人材になってほしい

――まずは、高専DCON 2022の内容や優勝校・上位校についた企業評価額など、今回の結果などを踏まえた感想をお聞かせください。

企業評価額10億円が3チーム、前回の優勝チームの6億円超が5チーム、全チームに企業評価額がつきました。進化し続けるテクノロジーをうまく取り入れており、参加した高専生全体のクオリティが向上していることを実感しました。

――高専DCON2022のどのような点に魅力を感じ、ご協賛いただいているのでしょうか?

ICTを活用して地域課題を解決していくということは、Society5.0を目指す日本の重要な戦略のひとつとなっています。KDDIでは、課題を解決する主役は、地域でICT(情報通信技術)化やDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する人材であると考え、その育成につながる取り組みを進めています。

高専DCONは高専生がモノづくりとディープラーニングの組み合わせで社会課題を解決し、そのビジネス性を競うコンテストです。高専生に未来を担う人材になって欲しいとの思いから、高専DCON2022に協賛させていただいています。

――御社のAIを活用した事業やお取り組み、今後のAI(人工知能)活用の展望などをお聞かせください。

例えば、法人のお客様向けにAIを活用したソリューションを開発、提供したり、携帯電話基地局の制御等にAIを活用しています。また、高専DCON参加者向けに行った当社の講演でも説明しましたが、行動認識AIの研究開発も行っており、ラグビーやサッカー、スポーツクライミングなどのフォームのアドバイスや、ドローン映像での警備等への活用を目指しております。

――御社と高専に関するトピックスや、高専出身社員の話題があればお聞かせください。

KDDIでは、舞鶴、福井、長岡、仙台、鳥羽、長野、明石の高専7校(2022年4月現在)と連携協定を締結し、ICTや課題解決型授業など将来を担う人材の育成へのご支援を進めています。

先端テクノロジーへの好奇心、探究心を持ち
さまざまな課題の解決に繋げてほしい

――社会課題の解決に向けたAI活用にも期待が集まっています。御社が期待するAI活用のあり方とはどのようなものなのでしょうか? また、御社でお取り組みになっている事例などがございましたらお聞かせください。

日本は少子高齢化や人口減少という構造的課題を抱えており、これらを起因とした様々な社会課題が顕在化しています。これらの社会課題の解決にはAI、IoT、5G、XR(クロスリアリティ)、ロボティクス等といった先端テクノロジーの活用が不可欠です。AIを含めた先端テクノロジーを組み合わせた取り組みとデータ蓄積や解析の繰り返しによって社会活動や経済活動は最適化され、それが経済発展をもたらし、社会課題の解決につながると考えております。

KDDIでは、2030年頃に向けたライフスタイルのトランスフォームにつながる技術を「LXテクノロジー」(※)と銘打ち、根幹となる先端技術と共に研究開発を推進しています。この中で、ディープラーニングを中心としたAIは重要な役割を担っており、ディープラーニングの進化に向けた研究開発の取り組みに加え、前述の通り、各領域におけるディープラーニング活用を進めております。また、これらは複数の分野にわたることから、横連携が非常に重要となるため、Lightning Talk等を通じ各自の取り組みを情報共有する場を持ち、お互いを鼓舞しあっております。

※LX:ライフ・トランスフォーメーションの略

――昨年より「DCON Start Up 応援1億円基金」が始まり、高専DCON出場チームの未来を見据えた取り組みが行われています。今後の高専DCONに期待する点などがございましたらお聞かせください。

DCONにはベンチャーキャピタルやメンターといった起業のスペシャリストの方々が関わられております。さらに「DCON Start Up応援1億円基金」を設立され、高専生の起業支援や伴走体制が強化されました。多くの高専生がこの仕組みを活用し、起業やビジネスでの成功に挑戦されることを期待しております。

――最後に、高専生たちへ向けたメッセージをお願いします。

日本は課題先進国です。社会課題の解決にはAI等の先端テクノロジーを活用が不可欠です。テクノロジーへの好奇心、探究心を持って、さまざまな課題に果敢に挑戦し、解決に繋げることを期待します。そのような経験が、ビジネスを生み出す力、地域を支える力になっていくと思います。KDDIは社会課題解決に果敢に挑戦する高専生を引き続き応援してまいります。

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