「ビジネス構想力」と「実装力」に磨きをかけ
社会にインパクトを与える人材になってほしい
株式会社丸井グループ
上席執行役員CDO
新規プロジェクト推進部長
相田昭一氏
「D-walk」は丸井グループと親和性が高い
今後の社会実装をぜひ一緒に進めていきたい
――まずは、高専DCON 2022の内容や優勝校・上位校についた企業評価額など、今回の結果などを踏まえた感想をお聞かせください。
ものづくりの技術×AI（人工知能）・ディープラーニングの力で、「実現可能」かつ「社会にインパクト」を与える事業提案が多く、感銘を受けました。
その中で、丸井グループ賞は、一関工業高専に授与いたしました。
インソール型の足型センサを靴に挿入し、スマートフォンにより、歩行を行うだけで認知症を推論でき、歩行すること自体が予防ツールとして機能する提案。その技術力だけではなく、保険会社を想定したビジネスモデルの実現性や事業としての可能性を感じました。
「D-walk」はご利用いただく一人ひとりのお客さまの健康に役立つものであり、当社のクレジットカードをかけ合わせれば、皆に喜ばれる三方よしのビジネスとなるため、当社とも高い親和性があると感じました。ぜひ今後、ご相談させていただき、社会実装に向けた取り組みを一緒に進めていきたいと考えております。
――高専DCON2022のどのような点に魅力を感じ、ご協賛いただいているのでしょうか？
「将来世代」と「技術」の掛け合わせに大きな期待をしているためです。
丸井グループは、ビジネスを通じて持続可能な社会、地球環境を実現するためにZ世代を中心とした「『将来世代』の未来を共に創る」というインパクトを掲げています。その実現には成長領域であるWeb分野を中心に、確かな技術に裏付けられた実装力が必要だと考えております。
「将来世代」が「技術」を使ってビジネスの提案をする高専DCONは、当社と非常に相性がいいと考え、高専DCON2022から初めて協賛させていただきました。
――御社のAIを活用した事業やお取り組み、今後のAI（人工知能）活用の展望などをお聞かせください。
丸井グループでは、さまざまなデジタルデータにAIを活用して、小売やフィンテック領域の事業に展開しています。
小売事業では、ＥＣ上でのお客さまの商品のパーソナルレコメンドなどを行い、お客さまの体験価値の向上に寄与しています。また、フィンテック事業においては、クレジットカードの不正利用検知やFAQ（チャットボット）などにAIを活用し、安全安心にカードご利用いただけるサービスの提供に努めております。
今後は、当社の保有するさまざまなデータを、高専生の皆さまのアイディアや実装する力と掛け合わせて、ともに社会にインパクトを残せる、新たな価値を創造する取り組みができればと考えております。
社外との共創でイノベーション導入を推進
高専DCON発スタートアップと協業したい
――社会課題の解決に向けたAI活用にも期待が集まっています。御社が期待するAI活用のあり方とはどのようなものなのでしょうか？ また、御社でお取り組みになっている事例などがございましたらお聞かせください。
丸井グループでは、企業として実現したい「インパクト」の一つとして、「一人ひとりの『しあわせ』を共に創る」と掲げており、一人ひとりの「自己実現」や「好き」を応援し、個がエンパワーできる社会の実現をめざしています。これまで一人ではできなかった、個人に寄り添ったライフスタイルの提案を、ＡＩによって叶えられることを期待しております。将来世代である高専生のみなさまと共に、社会課題を解決するソリューションを創りあげていきたいと考えております。
――昨年より「DCON Start Up 応援１億円基金」が始まり、高専DCON出場チームの未来を見据えた取り組みが行われています。今後の高専DCONに期待する点などがございましたらお聞かせください。
丸井グループでは、現在スタートアップへの共創投資を行い、社外との共創によるイノベーションの導入を推進しています。今後高専DCON発のスタートアップ企業と協業する機会を一緒に創りあげていきたいという想いを持つとともに、この高専DCONにおいては、さらなる「実現可能」かつ「社会に大きなインパクト与える」事業提案に期待しております。
――最後に、高専生たちへ向けたメッセージをお願いします。
今だからこそ、社会に与えるインパクトの大きいビジネス構想力、それを支える実装力に磨きをかけてほしいと考えています。今後起業されるのか、就職されるのかは人それぞれだと思いますが「技術に裏打ちされたビジネスを企画する力」は、どの進路に進まれても役立つことと思います。
高専DCONを通じて、その力をさらに成長させ、社会にインパクトを与える素晴らしい人材になってください。