DCON2022を振り返って

高専生とともに未来を切り拓き
社会・経済に貢献していきたい

株式会社QUICK
ひとづくり本部長
小泉貴史氏

高専生の資質の高さに高専DCON2022協賛を決意
発想力・技術力・プレゼンテーション力の高さに驚き

――まずは、高専DCON 2022の内容や優勝校・上位校についた企業評価額など、今回の結果などを踏まえた感想をお聞かせください。

今回、初めての協賛ですが、企業評価額が過去最高となった通り、各校の発想力や技術力、そしてプレゼンテーション力の高さに驚きました。加えて、ビジネスを通して地域社会や経済、高齢者支援等に貢献していきたいという強い熱意が伝わってきました。

また、予選、本選と進んでいく中で、チームでビジネスを推進していくという組織運営力も身に付けられ、貴重な経験を積むことができたと思います。そのような点でも高専DCONの意義を深く感じました。

――高専DCON2022のどのような点に魅力を感じ、ご協賛いただいているのでしょうか?

当社は、「あらゆる情報を価値に変え、経済と社会の持続的な発展に貢献します」を経営理念に、日本経済新聞社のグループ企業として、質の高い情報とソリューションを提供しています。

情報を価値に変えるには、データ解析技術や機械学習をはじめとしたAI(人工知能)技術、そして技術を磨く人財が必要不可欠となります。その中で、専門的な技術を集中して学んでいる高専生は、サービスの創造や発展に携わるエンジニアとしての資質が高いと感じ、私たちとともに未来を切り拓き、社会・経済に貢献いただきたいという思いで、高専DCONに協賛させていただきました。

――御社のAIを活用した事業やお取り組み、今後のAI(人工知能)活用の展望などをお聞かせください。

「AI」については、少し範囲を広げてお話したいと思います。当社の金融情報サービスは、投資に役立つ様々な予測を提供しており、AIの要素技術である統計モデルや機械学習を用いてコンテンツを開発、提供しています。例えば上場企業は3ヵ月に1度、会社の成績にあたる決算を発表しますが、その内容が株価にどう影響するか、上がるのか下がるのかを瞬時にスコアリングするようなモデルを作って予想株価変動率を提供するといった使い方です。

日本の場合、多くの企業が決算の予想を開示していますが、開示していない企業も1割ほど存在します。こうした企業の予測も複数のモデルを組み合わせて予測、提供しています。他にも協力会社とAIエージェントを開発するなど、外部の技術も積極的に取り込んでいます。

成功体験は『人生の財産』、失敗体験は『成長の糧』
AI技術とチャレンジ精神がデータを価値に変える

――社会課題の解決に向けたAI活用にも期待が集まっています。御社が期待するAI活用のあり方とはどのようなものなのでしょうか? また、御社でお取り組みになっている事例などがございましたらお聞かせください。

社会課題の解決は、まさに当社が今後力を注いでいこうと考えている分野です。これまで金融情報サービスを事業の軸に据えてきましたが、今後は金融にとどまらず、さまざまな社会・経済の課題の解決に役立つ情報を提供したいと考えています。

例えば、2022年1月、「新型コロナウイルス感染症の第6波ピーク予測」を提供しました(同年3月に更新終了)。社外の有志による予測ですが、早い段階で2月10日頃にピークアウトすると予測し、的中させました。第5波までの感染者数の推移や世界の感染者増減のサイクルを分析し、日々変わる人流や飲食店の予約状況、SNS等が映す人々の心理などを変数に加えました。台風の進路予測のような動的予測であることが特徴です。

新型コロナウイルスにとどまらず、今後はさまざまな社会・経済の課題について、客観的なデータを収集し、分析することで得られる予測等に基づいた適切な判断が下されるようになると考えています。そこで重要なのが、多種多様なデータを迅速かつ適切に分析、予測できるAIです。そしてAIの妥当性や予測が適切であるかを判断し、これを活用して課題解決に役立つサービスを創出するのが人間であることは言うまでもありません。このような人財の育成にも注力していきたいと考えています。

――最後に、高専生たちへ向けたメッセージをお願いします。

世の中には、価値に変わるデータがいたるところに存在しています。そのデータを価値に変えることができるのは、AI技術であり、皆さんのチャレンジ精神です。失敗を恐れてチャレンジしないことが、「最大の失敗」であると思います。チャレンジの結果、成功体験は『人生の財産』となり、失敗体験は『成長の糧』になります。様々なデータを価値に変え、社会、経済に貢献していく取り組みを、今後も応援していきます。

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