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実世界が得意な高専生だからこそ、
「Cyber-Physical」を扱える

DMG森精機株式会社
執行役員 開発管理・経理・人事担当 製造人事担当 立会検収担当
中務陽介氏

株式会社WALC(DMG森精機グループ)
取締役社長
櫻井 努氏

大量の情報が行き交う生産の現場には
デジタルの力が不可欠

――高専DCON にはどのような点を魅力に感じ、ご協賛いただいているのでしょうか?

(中務)
ものづくりとディープラーニングの活用を組み合わせたコンテストであるところに、ユニークさを感じました。特別協賛を決めたのは、当社がDCONに参加する高専生を様々な面から支援できると考えたからです。

当社は工作機械メーカーとして、世界中の製造業の生産現場に工作機械を納入し、生産性向上に向けた様々なご提案を行っています。なかでも、工作機械を構成するメカ・電装制御・ソフトウェアと、AI・IoT・クラウドコンピューティングの組み合わせを得意としています。規格大量生産から多品種少量生産への社会的ニーズのシフトに対しては、5軸、複合加工による工程集約など。少子高齢化による生産人口縮小への対応では、自動化、デジタル技術を活用した生産工程のDX化に取り組んでいます。

――AI・ディープラーニングの分野を、どの様にご覧になっていますか?

(中務)
工作機械のビジネスを大きく広げる可能性があります。お客様の生産現場は情報の集まりです。3D-CADの設計データ、機械の稼働状況、エネルギー消費量、生産部品のばらつきといった大量のデータが飛び交うなかで、AIなどを活用したデジタル支援は不可欠なのです。

(櫻井)
WALC(ウォルク)は、AI・IoT・クラウドコンピューティングの研究開発拠点としてスピンアウトしたDMG森精機のグループ企業です。20代の若手を中心に、様々なプロジェクトを進めています。

AI・ディープラーニングの分野は、KerasやPytorchのようなツールが揃ってきたことから若手が取り組みやすい領域である一方、データの背景にあるドメイン知識をいかに習得するかが課題です。数学的理解を深めるだけでなく、プロジェクトマネージメント能力を身に着けることが重要と考えます。

未来のための苦労を分かち合える仲間と
最高のチームワークを

――DMG森精機と高専の関係について教えて下さい。

(中務)
当社では、高専出身の数多くの社員が活躍しています。また、ラーニングイノベーショングランプリ2022で「最優秀ラーニングイノベーション賞」を受賞した北九州高専をはじめとする高専の先生方との共創にも取り組んでいます。

――DCONでは年々、業評価額、投資額、作品の水準が上がっています。DCON2023の参加チームに、どのような期待がありますか?

(櫻井)
自分たちの力で世界をより良くできると信じて、大きな夢を現実のプロダクトにブレークダウンしてほしいです。毎回、作品から多くの気付きが得られ、頼もしいと感じます。

(中務)
ダイバーシティ&インクルージョンに取り組んでほしいです。当社では、ドイツ企業との合併を通じて、外国人社員との協力の中から新たな価値を生み出す取り組みが増えました。国籍、文化、性別を超えた課題解決の取り組みをもっと見たいです。

――DCON2023では、どのようなチームに企業賞を授与したいですか? また、受賞チームとの協業のイメージがあれば、お聞かせください。

(櫻井)
プロトタイプ制作から見えてきた課題に対し、理想の90点の取り組みはすぐに実現できるかもしれません。しかし本当に強いチームは、そこから93点、95点、96.5点と地道にレベルを高められるのです。ディスカッションを繰り返し、様々な手法を試す粘り強さを持つチームを評価したいです。

協業においても、直面した課題をどう乗り越えるのかは極めて重要です。

――日本企業が競争力を高めるためには、既存事業でのAI技術の利活用が不可欠です。高専生にどのような貢献を期待しますか?

(中務)
高専生には、実践的な課題解決の能力を持つ人材が多いです。専門科目や学術研究を通して身に着けた直観的な理解力と課題解決の能力を組み合わせて、社会課題の解決に役立ててほしいです。

(櫻井)
AIだけでは、実世界と連携できません。対象に合わせたセンシング、治具を作った固定、アクチュエータによる動作など、実世界へのアプローチを得意とする高専生だからこそ、「Cyber-Physical」の世界を自由に行き来きできると思います。

――高専生へのエールや、学生の今だからこそ取り組んでほしいと思うことをお聞かせください。

(中務)
自由な時間を活かして、好きなことを突き詰める経験をしてほしいです。

(櫻井)
未来を切り開く苦労を分かち合える仲間がいるのは、素晴らしいことです。
チームは一期一会ですから、所属するチームで最高のチームワークを発揮してください。

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