DCON2023本選出場チームを取り上げる取材企画、第8回目の今回は一関高専 チーム「suzukiLab」の皆さんを取材しました。
昨年の優勝校が新たな提案と作品を掲げてDCON2023に参戦!!
そんな彼らに現在の制作状況や本選に向けた意気込みを伺います。
今回は以下4名の学生さんにご協力いただきました!
・リーダー: 田中さん
・開発担当: 佐々木さん
・実験担当: 山際さん
・ビジネス担当: 高橋さん
<チームの集合写真>
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一関高専
・岩手県一関市に存在する国立高専。
・冬場は寮生や学生会が雪かきもする雪国高専!
・未来想像工学科 (機械・知能系 / 電気・電子系 / 情報・ソフトウェア系 / 化学・バイオ系)の4コース。
・昨年のDCON2022では優勝チームを輩出、今年も昨年に引き続き福祉に注目した提案に大注目!
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ー 今回取り組んでいる課題や作品について教えてください。
私たちは今回、「ウェルビーイングの定量化」に取り組みます。
ウェルビーイングとは、肉体的、精神的、社会的に満たされた状態を意味する用語であり、幸福度とも表現できます。世界の幸福度ランキングを見てみると、日本は54位と先進国の中ではかなり低い順位となっています。原因は様々ですが、近頃の日本では働き方の面で不満や精神的負担を抱えて”病んでいる”様がSNSなどで散見されます。実際、業務上の負担や人間関係の心労でうつ病をはじめとしたメンタルヘルスの問題を抱えて休職や退職をする人は、毎年10%以上にも上るそうで、企業・労働者の双方にとって大きな損失となっています。
このような問題に対するアプローチとして、労働者個人個人の精神状態や業務等に対する不安などを把握し、カウンセリングや業務の調整を行っていくことが考えられます。私たちは、この労働者個々人の状態を生体情報に基づいた形式で定量化し、企業・個人の精神的リスクの低減、ひいてはウェルビーイングの向上に寄与するシステムを開発しています。
ー ”ウェルビーイング”、近年とても重視されている概念ですね。この課題に取り組もうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
きっかけ自体は私たちの日常にありました。私たちは仕事をしているわけではありませんが、学生も普段の授業、宿題、部活…やるべきことが無数に存在し、忙しさや人間関係の面で苦労することが多々あります。実際、私たち自身も普段の生活の中で倦怠感や無力感などを感じることがありました。
しかし、テレビのニュースやSNSを見ているとそうした悩みを抱えているのは自分たちだけではないことを知りました。特に社会人はより強い悩みを抱えており、企業・労働者にとっての痛みになっていることを知り、何か自分たちの技術で解決・緩和のための手伝いができないかと思ったのがきっかけです。
ー なるほど…。今回の作品の肝は幸福度・満足度の定量化にあるかと思いますが、どのような仕組みで実現されているのでしょうか。
詳しくは本選までお伝えできませんが、人間は幸福や達成感を感じた時に身体上にある種の変化が起きます。これを生体情報センサを組み込んだウェアラブルデバイスで検出し、事前に学習したAIモデルによりその人の幸福度を評価する、ということを行います。
ー ウェアラブルデバイス!近未来的でワクワクしますね…!生体情報となるとかなりハードウェアデバイスの出来栄えに依存する部分もありそうですね。
はい。実は私たちのチームは全員が機械系の学生が多いため、デバイスに関してはかなりこだわりを持って製作しています。反対にAI系の知識やプログラミングに関しては元々の経験が浅い部分もあるため、苦労しながら製作しています(笑)
ー そんな皆さんが、今回DCONに参加した経緯や動機も伺えますでしょうか。
私たちの所属する鈴木研究室が機械系ではあるもののかなり情報寄りの研究に力を入れており、以前からDCONには研究室として参加させていただいていました。
DCON2022にて先輩に当たるTeam MJの皆さんが優勝されたこともあり、研究室として絶対に今年もDCON本選に出よう!という機運が高まっており、今年も参加する運びとなりました。
昨年の優勝があるので、先生や高専の仲間からはかなりの期待がかけられています(笑)
ー DCON史上初の2連覇の期待がかかっているのですね…!ちなみに気になっている本選出場チームなどはありますか?
鳥羽商船の「りぷら」がかなり気になっています。世界的にかなり注目されている海洋プラスチックゴミ問題に取り組むということで、社会的インパクトや事業性などの面でかなり手強いチームだと思います…!
ー ここまでの作品開発や事業性の検討をする中で苦労や学びなどはありましたか?
たくさんあります(笑)
技術的にはAI・ソフトウェアの経験が浅い部分があるので、先生や昨年のチームの先輩方にアドバイスをいただきながら進めています。また、事業性であったりスケジュールであったり、高専の中ではこれまであまり経験のなかった部分も多いので、そうした箇所に関してはメンターの岡田さんのお力などもお借りしています。
ー メンターにいただいたアドバイスの中で印象に残っているものなどはありますか?
自分達の提案を聞く人に如何に納得感を持ってもらうか、そのために背景となる課題感や根拠となるデータを揃え、わかりやすく伝える。そのための心構えやテクニックに関してアドバイスいただいたことが記憶に残っています。
ー DCON2023本選まで残すところわずかとなりましたが、意気込みなどがあれば教えてください。
作業を進めていく中で色々な苦労はありましたが、チームメンバーで力を合わせて頑張ってきました。ここまで技術的な完成度をあげてきたので、残りの期間はプレゼンをブラッシュアップし、本選では課題感私たちの作品の魅力、強みが伝え切れるように頑張りたいと思います。
ぜひ応援よろしくお願いいたします!
ー 最後に、DCONでは上位入賞者に起業資金が提供されますが、起業などは考えていますか?
もし優勝できたら、ぜひ今の作品をベースに起業したいと思っています!優勝できなかったとしても起業自体は興味があるのでまずは本選で今の自分たちがどこまでやれるのかを知れればと思います…!
ー ありがとうございました!本選も頑張ってください!!