DCON2023本選出場チームを取り上げる取材企画、第10回目の今回は沖縄高専 チーム「UTAMARU♪」の皆さんを取材しました。UTAMARU♪の皆さんは沖縄が誇る伝統芸能 × AIという組み合わせに挑戦するとか…?
そんな彼らに現在の制作状況や本選に向けた意気込みを伺います。
今回は以下4名の学生さんにご協力いただきました!
・リーダー・開発担当:金城さん
・インタフェース開発担当:伊波さん
・ビジネス担当:波平さん
・ビジネス・開発担当:島袋さん
・プレゼンター:伊藤さん
・プレゼンター:石垣さん
<チームの集合写真>
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沖縄高専
・沖縄本島に位置し、全高専中最南端の南国高専。
・校舎が綺麗で海も近い!
・学科は 機械システム工学科 / 情報通信システム工学科 / メディア情報工学科 / 生物資源工学科 / 総合化学科 の5学科
・DCONでは、沖縄の郷土や文化に基づいた独創的なテーマ提案が持ち味。
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ー今回皆さんが取り組まれている課題と提案作品について教えていただけますでしょうか!
私たちは今回、歌唱技能の伝承支援システム「Voice Ball」を提案いたします。
私たちの住む沖縄には、歌三線(うたさんしん)という、沖縄の代表楽器「三線」を奏でながら唄う伝統芸能が存在します。この歌三線とともに舞踊を行う組踊歌三は、ユネスコの無形文化遺産にも登録されているなど、沖縄ひいては日本が世界に誇る文化です。
しかし、歌三線の技術習得は非常に難しいことが知られており、技能伝承における障害となっています。私達は沖縄で育った人間として、また高専で技術を学んだ人間として、こうした問題にAIを持って立ち向かいたいと思ってこの度チームを結成いたしました。
ー なるほど。沖縄で生まれ育った皆さんならではのテーマですね! AIを用いた技能伝達というのも近年かなり期待されている領域ですが、具体的にはどのようなアプローチを考えられているのでしょうか。
企業秘密な部分もあるのですが少しだけお答えしますと、僕らの作品の肝は歌唱者の技能をいかに”特徴量”に落とし込むのか、というところにあります。
何らかの技能、特に芸術的視点が必要となるものの習熟度や特徴を伝えるということは、技能者ごとの個人差や見る側の主観の存在などもあり、実はとても難しい問題です。
実際、歌三線の歌唱法解説などにおいても喉を「圧迫する」「えぐる」という曖昧かつ難解な表現が使用されているのですが、学習者にとってはわかりづらいことこの上ありません。
そこで、私たちはAIを用いて歌唱の音響的な特徴を抽出・分析し、学習者にとってわかりやすい表現に変換することで、学習者が熟練者の技能をより精度よく模倣できるための仕組みを考案しました。
— 単なる言葉の説明とは異なる実際の音声に基づいた定量的表現、というのは技能習得の上ではとても有用そうですね…!
指導教員の宮城先生の研究室では他にも歌唱、スピーカーなどの研究も行っているため、音声の分野に関する知見は自分たちの技術的強みであると思っています。
ー そういえば沖縄高専では3年次に創造研究という研究活動に触れられるカリキュラムがあり、それが今回のチーム結成のきっかけにもなっているとか。
はい。私(金城)も含め、メンバーの多くが創造研究で宮城先生の研究に興味をもったことをきっかけに今回のDCONに参加しています。やはり、地元の伝統芸能に取り組んでいることやAI技術が学べることなどが大きいでしょうか。
— 3年次からですか!?それはとても面白い試みですね…! 最初は皆さんあくまで”研究テーマ”として課題に取り組まれていたと思うのですが、今回DCONに挑戦されたのにはどんなきっかけがあるのでしょうか。
元々、僕(金城)は高専入学時から起業などに漠然と興味はありました。しかし、実際に周囲の友達が様々なコンテストに挑戦していたり、それこそDCONに参加したり、そうした姿を見ている内に「自分も挑戦をしてみたい」という思いと、当時から関わり始めた「歌唱技能の支援システム」にはDCONで通用するだけの事業性があるのではないかという思いが強くなり、他のメンバーも巻き込んでの参加に至りました。
ー 強い熱意と提案に対する自信が伝わってきます。DCONの特徴である”事業性”など、ビジネス的な部分はなかなか高専では学びづらい部分かと思いますが当時から意識されていたのでしょうか。
伝統芸能の継承という観点ではなかなか事業化が難しい側面はあると感じるのですが、コア技術である「歌唱技能の定量化」に関しては、伝統芸能に限らず大きな需要があると感じていました。あくまで最終的に解決したい課題は伝統技能の継承ではあるものの、そうした横軸の事業展開に関してはかなりの可能性を感じています。
ー 事業に関してもかなり練り上げられてそうな雰囲気を感じますね。
まだまだ経験不足な部分も多いのですが、宮城先生やメンターに助けていただきながらみんなで取り組んでいます。
ー メンターの方のお話が出ましたが、取り組みの中で何かアドバイスいただいたことなどはありましたか?
メンターの佐藤さんとは週1で進捗確認や相談をさせていただいているのですが、
目標やスケジュールの設定をいかにするか、また予定通りにいかなかった際にどうリカバリーするかなどをはじめ、自分たちに足りていない考え方や物事の進め方についてアドバイスしていただくことが多く、いつも学ばせていただいています。
ー 目前に迫るDCON本選に向けて、チームのアピールポイントや意気込みなどはありますか?
私たちはおそらくこのDCONがなければ交流がなかったのかもしれないぐらい、元々の付き合いはありませんでした。しかし、「歌が好き」「AIで沖縄に貢献したい」、そんな共通の思いを胸に抱いて取り組む中でいつしかひとつのチームになっていました。
課題や事業性についても課題調査も現場に赴いたり、関連業界の企業さんにお話を伺ったり、足と頭をつかって下準備と検討を入念に重ねてきました。
作品においても自分たちの技術的強みを生かした独創的なものに仕上がっていると思います。
本選当日はそれらの魅力を余すところなくお伝えできればと思います!!
— 最後に!ズバリ本選で優勝したら起業したいですか!?
本選出場したからには優勝して起業したいです!応援お願いいたします!!
ー ありがとうございました!本選を楽しみにしております!!