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人や社会と関わり
未来像を思い描く力を

DMG森精機株式会社
執行役員 開発管理・経理・人事担当 製造人事担当
中務 陽介氏

授賞チームが取り組むのは
保育園における事故の軽減

――高専DCON にどのような魅力を感じて、協賛いただいたのでしょう?

未来ある高専生を支援したいという思いから、特別協賛を決めました。ものづくりとディープラーニングの活用を組み合わせたコンテストであるところに、ユニークさを感じたのも協賛理由のひとつです。

――貴社が企業賞を授与されたチームと、具体的な授賞理由を教えてください。

市場性と技術面の2軸での評価により、沼津工業高等専門学校のD4AIに協賛賞を贈りました。同チームが挑むのは、保育園における事故、及び業務負担の軽減という重要な社会課題です。高い市場性とスケーラビリティーが期待できると考えます。技術面では、午睡検知のために、安定性の高い画像認識技術を用いている点を評価しました。さらに、ブラウザ側の負荷軽減にWhisperを活用している点、誤変換の修正にChat(チャット)GPTを活用している点などは、非常にレベルが高いと感じました。

大きなテーマに挑み
その道の第一人者となれ

――これからの社会を支える高専生たちに、どのような課題に対する取り組みや役割を期待しますか?

アディティブ・マニュファクチャリング(AM)の進化をはじめ、工作機械の世界では、おおよそ10年ごとに大きな技術革新があります。 20歳で新しい技術に取り組み始めて、10年続ければ、その道の第一人者になれる可能性がある。 10代、20代だからこそ切り開けることを見つけて、挑戦してほしいです。

――過去にDCON出場したチームの中から実際に起業する事例が複数出てきています。今後、起業を目指す「DCONスタートアップ」たちに向けてアドバイスをお願いします。

目の前の課題解決だけでなく、「将来自分たちの社会がどうあるべきか」という大局の視点を持ってほしいです。より良い社会を築くためには、未来像を思い描く力が必要です。新たな社会を作る仲間として、良きライバルとして、一緒に頑張りましょう。

――貴社のAIを活用した事業や取り組みと、今後の展望をお聞かせください。

工作機械の予兆保全を行うヘルスモニタリングサービス「WALC CARE」を展開しています。世界中のマシニング(機械加工)プロセスから生じる情報を、デジタル・AI技術を通じて収集・分析・可視化。得られた情報をプロセス改善、DXに生かせます。AI技術の進歩には期待しており、今後も積極活用していきます。

――AIを基軸とする今後の社会変化を踏まえて今、高専生に取り組んでほしいことは何ですか?

当社は経営理念に「よく遊び、よく学び、よく働く」を掲げています。心身の健康を維持し、最先端の技術を理解してチャレンジし続けてください。この順番が大事です。AIが様々な質問に答えてくれる時代ですが、自らの力で考え、人や社会とのつながりを大事にすることを忘れずに、未来を描いてほしいと思います。

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