株式会社丸井グループ
常務執行役員CDO 経営企画・共創投資担当、DX推進室長
相田昭一氏
スマホを活用した
精度の高い分別を評価
――高専DCON にどのような魅力を感じて、協賛いただいたのでしょう?
当社は高専生の皆さんとの協業を視野に入れ、2022年より協賛させていただいております。
協賛の理由は、「将来世代」と「技術に裏付けられた実装力」の掛け合わせに大きな期待を寄せているからです。当社は、すべての人が「しあわせ」を感じられる豊かな社会の実現を目指しています。実現のためには、課題解決のアイデアだけでなく、確かな技術に裏付けられた実装力が必要なのです。
――貴社が企業賞を授与されたチームと、具体的な授賞理由を教えてください。
身近なデバイスであるスマホを活用して、精度の高い分別を実現した鳥羽商船高等専門学校のezaki-labに企業賞を授与しました。同チームの「りぷら」は、利用者のプラスチック分別を推進し、プラスチックが循環する社会を目指す素晴らしい取り組みです。当社が運営する商業施設のマルイ・モディには、年間約2億人のお客さまが来店します。プラスチックリサイクルの取り組みの一環として、お客さまにペットボトルをお持ちよりいただいています。2021年には、ペットボトル繊維を使用したパンプスの販売も開始しました。当社の取り組みと「りぷら」の提案は、何れもお客さまと共にリサイクルに取り組むという点で共通します。同チームと、サステナブルな暮らしの選択肢の提供、社会実装に向けて共創していきたいと考えます。
DCONスタートアップ
「磐井AI」と協業を開始
――これからの社会を支える高専生たちに、どのような課題に対する取り組みや役割を期待しますか?
テクノロジーを活用し、消費者と共に環境負荷軽減・脱炭素社会に向けたライフスタイルを選択できる新しいサービスや事業の提案を期待しています。地球環境問題への対処は、将来世代の未来を守るための喫緊の課題です。当社はその中で、「脱炭素社会」と「サーキュラーエコノミー(循環経済)」を実現する選択肢を社会に提示したいと考えています。高専生の皆さんには、テクノロジーの活用を通じて、消費者と共に環境負荷軽減・脱炭素社会に向けたライフスタイルを実現するサービスや事業の提案を期待しています。
――過去にDCON出場したチームの中から実際に起業する事例が複数出てきています。今後、起業を目指す「DCONスタートアップ」たちに向けてアドバイスをお願いします。
当社にとってスタートアップ企業は、互いの「利益」や「しあわせ」を最大化するためのパートナーです。スタートアップ企業への投資を行い、共創から生まれるイノベーションの社内への導入を推進しています。DCON2022で企業賞を授与した一関高専高等専門学校(今年2月に「磐井AI株式会社」を起業)の皆さんとは、当社の店舗を活用した実証実験などに取り組んでいます。今後も皆さんの起業を応援していきます。
――貴社のAIを活用した事業や取り組みと、今後の展望をお聞かせください。
さまざまなデジタルデータとAIを掛け合わせた事業を展開しています。小売事業では、ECサイト上でお客さまの趣味嗜好を分析し、おすすめの商品を表示するパーソナルレコメンドを提供しています。フィンテック事業では、クレジットカードの不正利用検知やFAQチャットボットなどにAIを活用。便利で安心なサービスの提供や、お客さまの体験価値の向上に努めています。社内でもAI-OCRや音声議事録など、AIを活用した働き方のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進。さらに今後は、Chat GPTをはじめとする生成AIの活用も模索していきます。
――AIを基軸とする今後の社会変化を踏まえて今、高専生に取り組んでほしいことは何ですか?
学生である今だからこそ、精一杯社会課題解決に向けた挑戦を行ってほしいです。当社は、柔軟な思考でデジタルを活用し、起業を目指す皆さんを応援しています。