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多様な人財の協力による挑戦が
新たな価値を創造する

トピー工業株式会社
専務取締役 経営企画、事業統括、サステナビリティ戦略管掌
中村毅氏(苫小牧工業高等専門学校 卒業)(写真左)

執行役員 DX戦略部長 
川上浩司氏 (写真中央)

人事部長
吉川隆憲氏(写真右)

設備の異常を音で聞き分ける
ベテラン点検員の技術を自動化

――高専DCON にどのような魅力を感じて、協賛いただいたのでしょう?

当社グループは、長年にわたり「鉄をつくり、鉄をこなす」をキーワードに、多様かつ独創的な技術を開発してきました。現在、2025年までの中期経営計画「TOPY Active & Challenge 2025」を推進しています。一層の収益力強化を図りつつ、次なる成長に向けたイノベーションの追求とカーボンニュートラルへの対応等により、持続可能な社会への貢献とさらなる企業価値の向上を目指します。そのような中、「高専生が解決すべき課題を自ら探し出し、“ディープラーニング×ハードウエア”の融合から『事業性』を伴う新しい価値を生む製品やサービスを創造する」というDCONのコンセプトが、当社グループの特色である「素材から製品までの一貫生産」のものづくりの概念に通じると思い、協賛を決めました。

――貴社が協賛賞を授与されたチームと、具体的な授賞理由を教えてください。

長岡工業高等専門学校「長岡高専プレラボチーム」に企業賞を授与しました。各メーカーは製造設備の安定稼働に向けて、設備稼働監視や設備保全につながる異常検知の強化に取り組んでいます。異常検知においては従来、機器の音を聞き分けられるベテラン点検員の耳に頼るケースが多かったのが実情です。しかし、近年は後継者不足などで技能の伝承が難しくなり、自動化のニーズが高まっています。同チームが制作した「大きな設備投資を必要としない『音』に着目した異常検知ソリューション」は、まさに当社が求めている技術でした。この作品の差別化技術は、蓄積データを辞書的に活用できること。短いリードタイムで安価に導入可能な点も強みです。このソリューションのユーザーコミュニティが拡大することにより、蓄積データを企業間で共有できる可能性も考えられます。メーカーとユーザーがWin-Winの関係を構築することで、より大きな効果を得ることができるのではないでしょうか。メーカーへの導入が進むことを期待しています。

――テクノロジーを活用した地域の社会課題解決が、高齢化や過疎化などを背景に、ますます重要になってきます。これからの社会を支える高専生たちに、どのような課題に対する取り組みや役割を期待しますか?

労働力不足を背景に、当社では製造ラインにおける作業の自動化を目指しています。製品検査工程では、AIを活用したホイールの外観検査の自動化。加工工程では、生産性向上のための製造設備稼働監視や、AIを活用した設備故障削減に向けた予知保全の概念実証(PoC)に取り組んでいます。みなさんには、ホイールの外観検査の自動化における傷の自動検知といった、AI技術の信頼性向上につながる取り組みを期待したいと思います。

――過去にDCON出場したチームの中から実際に起業する事例が複数出てきています。今後、起業を目指す「DCONスタートアップ」たちに向けてアドバイスをお願いします。

当社は「DCONスタートアップ」の株式会社IntegrAIと共同で、製造設備監視や予知保全のPoCに取り組んでいます。同社は、現場検証を行う技術レベルを持っているため、短期間でのPoCによる効果発現が期待できます。今後起業を目指すみなさんも、ぜひ同社のような高い技術レベルを目指して開発に取り組んでください。

社会や技術の変化に対応できる
自ら行動(考動)する人財に

――貴社のAIを活用した事業や取り組みと、今後の展望をお聞かせください。

当社は、外観検査の自動化等、製造ラインにおけるAI活用に取り組んでいます。今後は事務スタッフの労働生産性の向上と、顧客の要望に応じた受注に対応していきます。また、生産計画や物流への展開も考えていきたいと思います。

――AIを基軸とする今後の社会変化を踏まえて今、高専生に取り組んでほしいことは何ですか?

DCON2023の各参加チームの発表を見て、実証実験を経た実現性の高いビジネスモデルが提案されていると感じました。今後、ロボットやドローンの活用といったロボティックス専門のチームが参加すれば、さらに提案の幅が広がると思います。当社は、多様な人財がお互いの違いを認め合い、チームで大きな目標に挑戦することが、新たな価値の創造につながると考えています。急速に変化する社会や技術に対応し、未来を切り開くためには、「行動・考動」することが大切です。ぜひみなさんも、自ら行動する人財となって、活躍してください。

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