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課題が新たな技術を生み出す

トヨタ自動車株式会社
先進技術開発カンパニー
先進データサイエンス統括部
部長 竹内康臣 (写真左)
グループ長 岡本昌之 (写真右)

循環型社会実現に向けた
取り組みを評価

1.高専DCONについて

――高専DCON にどのような魅力を感じて、協賛いただいたのでしょう?

(岡本)
当社はDCON2020より協賛しており、次世代を担う高専生をサポートしたいと考えています。高専DCONでは、高専生がものづくりのノウハウとディープラーニングなどの先端IT技術を組み合わせて、社会課題の解決に挑戦します。その方向性は、自動車会社からモビリティカンパニーへの変革を目指すトヨタ自動車の取り組みとも重なります。

-高専DCON2023で貴社が企業賞を授与されたチームと、具体的な授賞理由について教えてください。

(竹内)
鳥羽商船高等専門学校ezaki-labの「りぷら」にトヨタ自動車賞を授与しました。地球の環境課題への挑戦をテーマとしており、循環型社会を目指す当社として共感しました。工夫あふれるデバイスには手作り感があり、循環型社会への取り組みが身近に感じられる点も評価しました。
また副賞として、当社の循環型社会への取り組みの一つである、車の製造工程で出てきた端材を活用したアップサイクル製品と、起業時に使って頂くことも想定しオリジナルイラスト印鑑を提供しました。

――テクノロジーを活用した地域の社会課題解決が、高齢化や過疎化などを背景に、ますます重要になってきます。これからの社会を支える高専生たちに、どのような課題に対する取り組みや役割を期待しますか?

(岡本)
高専生の強みは、ソフトウェア技術だけでなく、電気・機械などモノづくりの知識も生かせることだと考えます。例えば、自動車の認知・判断・操作支援においても、AIをはじめとするソフトウェア技術を、モノづくりと融合させることではじめてお客様の安全な移動をサポートできます。高専生の皆さんには、リアルな現場を見ながら、ソフト・ハード両面の強みを生かしてもらいたいです。

――過去にDCON出場したチームの中から実際に起業する事例が複数出てきています。今後、起業を目指す「DCONスタートアップ」たちに向けてアドバイスをお願いします。

(竹内)
技術力だけでなく、事業性を評価する高専DCONのコンセプトは、高専生の起業につながっており、素晴らしいと思います。起業を目指す高専生の皆さまには、現場で学び、臆せずチャレンジしていただきたいです。DCONコミュニティの切磋琢磨が、DCONスタートアップ全体の底上げにつながることを期待します。

活躍の場は身近にある
臆せず行動してほしい

2.企業概要・事業紹介

――貴社のAIを活用した事業や取り組みと、今後の展望をお聞かせください。

(岡本)
当社では、自動運転やロボット、材料解析などの幅広い領域でAI技術を活用しています。また、車両データとAIを活用した交通災害の防止や、脳卒中などによる下肢麻痺のリハビリテーション支援、実験データ解析による新材料の研究開発加速など、新しい価値創出による様々な社会課題の解決を目指しています。最近は生成AIを筆頭に、深層学習の応用が一段と進んでいます。当社は、AI倫理などに留意しながら、新しいAI技術を積極的に活用していきます。

――AIを基軸とする今後の社会変化を踏まえて今、高専生に取り組んでほしいことは何ですか?

(竹内)
社会に興味を持ち、課題を見つけ、臆せず挑戦してほしいです。課題は新たな技術を生み出す原動力となり、世の中を動かす第一歩にもつながります。失敗したとしても、あらゆる挑戦は成長の糧になります。社会は皆さんの知識、技術、情熱を求めています。活躍の場は身近にあると考えて、ぜひ行動してみてください。

3.その他、お話しいただきたいことがあればお願いいたします

(竹内)
日頃から社会課題を意識することが、一層実のある技術の学び方・使い方につながります。DCONスタートアップが活躍し始め、後輩である高専生たちにとってのロールモデルが出てきたことで、この流れが循環し始めたと感じています。今後、専門的な技術やビジネスの視点を持った若い方々が増えれば、10年後、20年後の日本はもっと元気になるでしょう。当社は社会課題解決に向けて、ともに挑戦してくれる方をお待ちしています。

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