株式会社アクセスネット
代表取締役
高石 和生氏
皆さんと同じ高専卒の起業家として
高専DCON、高専生の挑戦を応援したい
――高専DCON にはどのような点を魅力に感じ、ご協賛いただいているのでしょうか?
当社は高専DCON2023から初めて協賛します。直近の2022年本選を拝見し、高専生の皆さんの社会における問題・課題を解決しようという高い熱量、そして事業として実現性のある魅力的な作品が数多くあったと感じました。
実は私も国立苫小牧工業高専を卒業した、皆さんと同じ元高専生です。高専生(卒業生)の実社会での活躍の場は数多くあり、これまで60万人の卒業生が企業、省庁、団体、大学、高専などで社会的役割を果たしてきていると自負しております。私と同じように起業家として新しいビジネスに挑戦されている方も多く、その可能性と果たす役割は増々広がっているように思います。私はこれまでの同窓会活動の中で『高専ロボコン』の応援や、高専コミュニティにも参加したことがありますが、社会の前面に出て活躍する高専生は年々増えているように思いますし、それに伴って社会的評価も高くなっているように感じています。
そんな高専生が、社会課題の中にテーマを見つけ、独自のアイデアでITやAIなどの最新手法で課題解決と新しいビジネスモデルを創造しようとする高専DCONは誰にとっても、ひいては国家にとっても重要であり、魅力的な取り組みであると思います。そんな高専DCONとチャレンジする高専生を純粋に応援したいという気持ちで、協賛することを決めました。
――御社ではAIやディープラーニングの分野について、どのようなお考えを持っているのでしょうか? また、御社と高専とのご関係がありましたらお聞かせください。
33年の社歴を持つ当社では、データソリューション分野でお客様へ新しいサービスを提供するため事業部門を5年前に立ち上げ、データ分析やBI、AIなどのソリューション・ビジネスに取り組んできました。この分野はまだまだ未開拓であり、本当に企業や社会に貢献できるサービスが出来上がっているとは言えません。どこにでも課題は無限にあり、解決したいと思っている悩みは無数にあり、それに取り組むのがIT業界における当社のミッションだと思っています。
それを高専生と一緒にテーマを探し、アイデアをひねり出し、ビジネスとして利益を生み、さらに社会的貢献を果たすことができたら、高専卒の一人としてこんな素晴らしいことはありません。AI・ディープラーニングの分野は、どんな社会分野にも応用ができますが、今後の国家課題である「食料」と「エネルギー」、そして「宇宙」については是非一緒に取り組まなければならない大きな課題と考えています。
「社会実装教育」を受ける高専生は
社会課題解決のスペシャリストになる
――年々企業評価額や投資額の最高額が上がり、作品の水準も上がっています。高専DCON2023の参加チームや作品には、どのようなことを期待しますか?
DCON2023でも2022同様、あるいはそれ以上に人・企業・社会のニーズ(人間の営みの中で生じる全ての課題)に対して、ディープラーニングを駆使したユニークな解決法を見出してもらい、技術面でもビジネス面でも審査員の方々を「あっ」と言わせる作品、実社会に大きく貢献できる作品に出合えることを期待しています。
――具体的に、どのような社会課題に取り組むことを期待されますか?
先日のDCON2023講演会でも触れた通り、当社では解決すべき社会課題として、「食料」「エネルギー問題」「宇宙開発」をテーマとして捉えています。この解決に向けては、当社企画開発ラボの中でもサービスやビジネスとして、実現の検討を重ねています。高専DCON2023においても、同様のテーマや社会貢献と商業的付加価値を同時に創造できるような画期的なアイデアが出てきてほしいと思っています。
――DCON2023では、どのようなチームに企業賞を授与したいとお考えでしょうか? また、企業賞を出したチームとどのような協業がしてみたいか、などについてお考えをお聞かせください。
当社のデータソリューション部で取り組んでいる事業分野(デジタルマーケティング、小売事業者の需要予測、位置情報の社会的利活用など)に親和性のある作品に対して企業賞を授与したいと考えています。将来的には、当社の高専DCON支援チームと新たなビジネスアイデアで協業を進めることができたら素晴らしいですね。
――現在、日本企業が競争力を高めていくなかで、既存事業に対するAI技術の利活用、または融合は不可欠なものとなりつつあります。そのような中で、高専生のような人材はどのようなことに貢献できるとお考えでしょうか?
高専生の多くは5年間、専攻科を含めると7年間の教育を通じて、専門知識を修得するだけでなく、困難な課題に真摯に取り組む姿勢、問題解決へのプロセスを論理的に考える力、課題を的確に解決する実行力など、技術者や研究者として必要な能力と資質を身に付けていると思います。
また、高専生は「社会実装教育」という考えに基づいて社会の問題を解決する実践教育を受けており、社会課題を解決するスペシャリストになる資質を持っていると考えています。その力はAI技術の利活用の課題解決だけに留まらず、日本社会が抱える様々な課題を解決し、競争力のある日本経済を取り戻してくれるものと期待しています。
――高専生へのエールや、学生の今だからこそ取り組んでほしいと思うことをお聞かせください。
この数年、社会は見通しの悪さと、暗澹たる不安に包まれていた様に思います。その中で、将来を見据えた取り組みについてアイデアを出し合い 「未来」を創り出す姿勢と、飽くなき好奇心は「素晴らしい」の一言です。
そして出来ることでしたら、同じ未来を向いた仲間とのかけがえのない「今」を一生の思い出にされることを、心から願っております。