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創造性高い学びを最高レベルで実現
それこそが高専生という存在だ

ウエスタンデジタル合同会社
プロセス技術部 シニアディレクター
鏡直芳氏

高専生は実践的でかつ創造力の高い人材
人類を幸せにする発明や発見を生み出して欲しい

――高専DCON にはどのような点を魅力に感じ、ご協賛いただいているのでしょうか?

ウエスタンデジタルは、SDカードやスマートフォンなどに使われているフラッシュメモリーや、データセンターなどで活用されているハードディスクドライブといった、データを記録・保存するためのストレージデバイスを開発、生産、販売するデータストレージメーカーです。今日におけるデータは記録するだけではなく、記録・保存し、分析することで、医療を進化させて人命を救う、あるいは自動運転を高度化させて交通事故を減らす、自然災害の発生を予測して被害を抑えるなど、幅広い領域で人々の幸福を実現するために活用されています。

高専DCONは、高専生のみなさんが日頃培った「ものづくりの技術」と「ディープラーニング」を活用した作品を制作し、その作品によって生み出される「事業性」を企業評価額で競うコンテストです。私たちウエスタンデジタルは、この「ものづくりに密着した『現場感のある』『実践的な』ディープラーニングの活用によって、『社会課題解決に取り組む』」というコンセプトに強く共感し、特別協賛というかたちで参加させていただいています。今年で3年目になります。

データがもたらす可能性を見出し、社会に役立てていく。人類の未来を幸せなものへと進化させる、そんな高専生たちを応援していきたいと考えています。

――高専DCON2022で協賛賞を授与したチームと、その理由について教えてください。

当社はDCON2022において、豊田工業高等専門学校「チーム早坂・大畑Lab」にウエスタンデジタル賞を授与いたしました。同チームは「熱中症」という、身近で、しかし危険度の高い病を「表情」で診断するシステムを発明しました。建設業や製造業に従事する人々への発病リスクを軽減することを目的として開発された非接触型のシステムは、データ活用が難しいとされる「人の表情」を、周囲の温度や湿度と組み合わせてディープラーニングを行うというものでした。課題も少なくない「顔画像を活用したディープラーニング」に敢えて挑戦した豊田工業高専チームの努力とその苦労を称えたいと考え、ウエスタンデジタル賞を贈ることを決めました。

――年々企業評価額や投資額の最高額が上がり、作品の水準も上がっています。DCON2023の参加チームや作品には、どのようなことを期待されていますか? 

高専生のみなさんは、実践的でかつ創造力の高い人材が多いと感じています。わたしたちはDCON2022の本選(最終選考会)に出場した10チームの作品すべてに、その優秀性と事業化の可能性を感じました。評価額や投資額が年々上がっていることも納得できます。いまや「KOSEN」は世界で通じる言葉となり、高い評価を得ています。実践的な経験と共に取得した技術を、AI・ディープラーニングと組み合わせることで、人類を幸せにするための発明や発見を数多く生み出して欲しいと期待しています。

――具体的には、どのような社会課題に取り組むことを期待されますか?

新たな活用方法の創出という観点からは、我々の生活を便利にするための身近な所から、Industry4.0で示されているような産業への活用、また、SDGsに挙げられるような地球規模の問題解決にも、幅広くこれまで以上に彼らの頭脳が活かされることを望んでいます。
日本のAI技術が発展するとともに、優秀な人材の輩出にも繋がるDCONは、非常に大きな役割を担っていると考えています。

未来を見据えたグローバルな視点をもち
AIの成長期を担う先駆者になってほしい

――DCON2023では、どのようなチームに企業賞を授与したいとお考えでしょうか?また、企業賞を出したチームとどのような協業がしてみたいか、などについてお考えをお聞かせください。

DCONが掲げるテーマである、「日々増大するデータの活用を促進する」「ディープラーニング×ハードウェア」そして 「未来ある高専生エンジニア・高専生事業家を支援する」という大きな思想はそのままに、私たちウエスタンデジタルは「データが人々を幸せにする」「データによって人類の暮らしを豊かなものにする」というコンセプトをもつ作品に注目したいと考えています。当社はデータストレージメーカーですから、ウエスタンデジタル賞を受賞されたチームに当社の製品を提供することで少しでも事業化を応援できればうれしく思います。

――現在、日本企業が競争力を高めていくなかで、既存事業に対するAI技術の利活用、または融合は不可欠なものとなりつつあります。そのような中で、高専生のような人材はどのようなことに貢献できるとお考えでしょうか?

先ほども述べましたが、高専生のみなさんは、実践的でかつ創造力の高い人材が多いと感じています。社会の課題を自身の知識や経験と組み合わせ、考え、研究し、実践を繰り返して完成したアイデアを、さらに改善や改良に取り組んで精度を高めていく、そんな創造性高い学びは、高専生のみなさんが最も高いレベルで実現できていると感じています。

「学び」を自らの技術として習得し、社会に還元してくれる最も高い可能性を持つのが高専生だと、私は考えています。

――高専生へのエールや、学生の今だからこそ取り組んでほしいと思うことをお聞かせください。

DCONに参加する高専生のみなさんは、若者ならではの新たな発想や着眼点だけでなく、未来を見据えたグローバルな視点をもち、AIの成長期を支える重要な時代を担う先駆者であると感じています。自分たちの可能性をより高められるように、AIのみならず様々な技術やビジネスモデルに好奇心を持って触れる機会を増やしていただきたいと思います。

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