DCON2023本選出場チームを取り上げる取材企画、今回は米子高専のチーム農作物まもルンジャーのみなさんを取材しました。
DCON初の米子高専からの本選出場チームとなった皆さんが農家の方を困らせる害鳥「カラスの撃退」をテーマに開発を進めています。
そんな皆さんに現在の制作状況や本選に向けた意気込みを伺います。
今回は以下4名の学生さんにご協力いただきました!
・ハードウェア開発:矢田さん
・ドローンのソフトウェア開発:都田さん
・データ収集・アノテーション・映像制作:松本さん
・ドローンのソフトウェア開発:山根さん
<チームの集合写真>
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在籍校 米子工業高等専門学校 (米子高専)
・鳥取県米子市にある国立工業高専
・1学科5コース制となっており、機械・電気・情報・化学・建築のコースがある
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ー この度はDCON2023本選出場おめでとうございます。まずはじめに出品作品の概要を教えていただいてもよろしいでしょうか?
私たちのテーマはドローンを使い農作物を荒らすカラスを撃退するというものです。ドローン×AIという最新技術の組み合わせで新たな試みに挑戦しています!
ー 背景となるカラスの農作物への被害についても教えていただけますか?
まず、カラスによる農作物の被害として、果樹や野菜の食害に加え、植えたばかりの苗を引き抜くなどのいたずら⾏為などがあります。このような被害は生産量の減少にもつながり、多くの農家さんを悩ませています。
また他の害獣や害虫の被害は年々減少していますが、カラスの被害は減っていないのが現実です。撃退手段として、空砲や爆音器などもありますが効果が1週間ほどしか持続しません。また防鳥ネットなどは規模の小さい農家さんにとってコストが高く、導入が難しいという現実があります。
ー 農家さんのカラス対策の新たなる選択肢になる可能性があるんですね!
このテーマは元々研究室などで研究されていたものなんでしょうか?
このテーマは指導教員である田中先生の研究室で約3年前から行われている研究がきっかけです。同じ米子高専を卒業され、梨農家になった方が元々行っていた研究で、約3年間継続して取り組んでいます。
またDCONには、指導教員の田中先生からの提案で2022年も応募していましたが、残念ながら昨年は本選出場が叶いませんでした。今年はアイデア、そして技術的にもブラッシュアップし本選出場を決めることができた形です!
ー なるほど、農作物の被害の減少に大きく貢献しそうですね!また約3年間の研究の蓄積があるということでとても楽しみです!
普段、田中先生の研究室はどのような研究をされているのでしょうか?
私たちの研究室では主に2つの研究テーマを扱っています。ひとつは電気系の分野、簡単にいうと半導体に関する研究です。もうひとつは情報系のテーマで今回のDCONのようなディープラーニングを使うような研究を行っています。半導体からカラスまで幅広く取り組んでいます(笑)
ー 本当に幅広いですね(笑)
これまで研究室で取り組まれていたテーマということなので、DCONに参加する前、そして参加後にどのように開発を進めてきたのか教えていただきたいです。
研究室で継続的に取り組んできたテーマなので、初期の頃の開発については把握しきれていない部分があります。約3年前の段階で物体検出モデルを作成し、約2年前からドローンを使い始めたと聞いています。
DCONへの参加が決まってからは主にカラスの検知やドローン動作のアルゴリズムの改良を行いつつ、実際にこのシステムでカラスを撃退することができるかなどの効果検証なども行っています。
ー 技術的な部分を含めてこれまで開発に苦労したところなどはありますか?
物体検出モデルの学習については苦労しています(笑)
カラスを認識するアルゴリズムのため、形を問わず黒い物体の誤検出が多いです。しかし試行錯誤をする中で精度も上がってきているため、本選までも引き続き精度をあげていきたいと考えています。
ー メンターの方とコミュニケーションはどのように取られていますか?またメンターとのコミュニケーションの中で印象的な出来事はありましたか?
基本的にはslackでのやりとりと週1でZoomでお話しする時間をいただいています。
私たちの中で最も印象的なのは、メンターの方のビジネス的な視点のアドバイスです。
これまでの高専での授業や研究で行っていたものづくりは完成させることが目的であり、どのようにしたら売れるかなどは考えたことありませんでした。
ただメンターの高橋さんからは常にどうしたら売れるかという視点で意見をいただいており、気付かされることや学ばせていただくことが多いです。
また今回、僕たちはドローンを用いた作品を開発していますが、身近にドローンに詳しい人がおらず、疑問点などを解決するのが難しかったのですが、メンターの方が詳しい方と繋いでくれました。そのような新たな出会いがあるのもDCONのひとつの魅力だと思っています。
ー 様々な専門家が集まるDCONだからこその出会いがありますね!
最後にみなさんの意気込みを教えていただいてもよろしいでしょうか?
矢田さん:
本選までの1ヶ月で取り組まなければいけないこと、解決するべき課題が多くありますが、ひとつひとつ解決していき、いい結果が残せるように頑張っていきたいです!
都田さん:
先生から「優勝を目指して頑張ろう!」と言われています。その目標に向かってベストを尽くしたいです!
松本さん:
このチームでの開発に参加したのが他の人より少し遅いので、他のチームメンバーと同じ知識量に追いつき、本選まで貢献できるように頑張りたいです!
山根さん:
田中先生にはさまざまな場面ですごくお世話になっています。恩返しができるように残り1ヶ月全力で頑張っていきたいです!
ー ありがとうございます!ズバリ今回のDCONで起業資金などを獲得することができたら起業しますか??
考えたことはありますが、まだわからないというのが正直なところです!
実際に、この作品の実用化まで超えなければいけない壁が多く、その壁がクリアになった先で実際に起業という選択肢もあるのかなと考えています。
ー これからも継続的に開発を進めていくことで、その先が見えてくるかもしれないですね!
本日はご協力いただきありがとうございました!みなさんがDCONでいい結果を残すことを陰ながら応援しております!!