最優秀チーム豊田高専「NAGARA」へインタビュー〜満場一致の最優秀賞!最高評価額を叩き出した福祉業界を救うシステム〜


DCON2025を制した豊田高専「NAGARA」。受賞後、高揚感でいっぱいの彼らに、プロダクト開発の経緯や今後の抱負を聞きました。

※写真は、最優秀賞を受賞した豊田高専「NAGARA」のメンバー。後列が髙木さん、前列左から吹野さん、志比田さん、岡田さん、川原さん、酒井さん、野﨑さん。サポートした北村さん。

優勝された今のお気持ちをお聞かせください

岡田:まず一番に嬉しいという気持ちがあります。同時に安堵という気持ちもあって。ここまで先輩起業家だったり、メンター、実業家、取材させて頂いた40の介護事業所、100人を超えるたくさんの人たちに助けてもらって事業を進めることができました。その方への期待に応えられたのではないかという安堵もあります。

勝因は何だと思われますか

岡田:圧倒的な行動力だったと思います。メンバーが8名、全員が物凄い行動力で、少ない期間で駆け抜けてきた、それが私たちの勝因だったかと思います。

行動力の具体例を教えていただけますか

岡田:シンプルに事業に割いた時間が、他のチームより圧倒的に多かったんじゃないかと思っています。学業に取り組みながらも100から200時間。それが8人もいるわけですから、十二分な行動力がうまく作用したと思います。
それからチームワークの力。僕が代表を務めているんですが、一人一人に実力があって、自分に割り振られた担当を責任を持って自分で考えて行動することで、スピード感を持って進められたと思います。

ぜひ皆さんそれぞれの強みを教えてください

野﨑:私はハードを専門に担当しておりました。 こちらのウェアラブルバンドですね。
このプロジェクトは大晦日から始まりまして。僕自身、電子工学やハードウェアの経験は全くないんですけども、周りの熱に圧倒されて「もうやるしかない!」と。なんとか形にすることができまして、本当に感謝しております。

酒井:僕はデザインの部分と、セールス営業に力を入れておりました。ピッチの動画や名刺の製作を頑張ったのと、40カ所の福祉施設を回りました。

川原:私は副代表として、代表の秘書やDCONのピッチスライドの制作を担当しました。私自身はプログラミングなどが得意ではないので、とにかく圧倒的な行動力を示そうと僕にできることは何でもやって、空き時間とかも全部仕事に当てるという形で活動していました。(事務作業は全て僕に任せてくれと?)はい、そうですね。

岡田:私が代表を務めました。私の役割としては最終的な意思決定をしてこのチームを引っ張っていくこと。この会社が、どういったところに向かっていくのかというビジョンを決めて、そこに至るロードマップを僕がメインとなって考えました。
それを先輩起業家や実業家に確認していただいて、チームに伝えて、また議論して最終決定をすると。行動してくれたのはもうこのメンバーです。

髙木:自分は北海道支部を担当しました。プロダクトを日本中に広げるって言っていますが、北海道から広げるぐらいの気持ちで頑張りました。

岡田:40の福祉施設のうち、18ヶ所くらいが北海道。彼が全て一人で行ったので、とんでもない行動力です。

志比田:僕は3Dプリンターを使ってバンドの作成をしたり、あとチラシのデザインなどを担当しました。実は僕がこのチームで最年少でして。週に何回も3時間の会議をするんですよ。働きすぎじゃないかと思う時期もあったんですけど、凄い先輩がたくさんいる中で、先輩の背中、行動力を見て、がむしゃらに頑張るという感じでした。本当にたくさん勉強になりました。

吹野:ハードウェアに加えて、ソフトウェアの開発もリードするという役割でした。メンバーの中では比較的プログラミング経験が長い方です。期限や締め切りがたくさんあったので大変でしたが、何とか頑張ってここまでこれました。

岡田:あともう一人紹介させてください。DCONチームは7名までということで、この7名で最初は進めていたんですが、途中から入ってくれた北村くんがいます。今は社会人なのですが、ハードの中に組み込まれているプログラミングの部分をかなり作ってくれた陰の立役者です。

本当に皆さんそれぞれ異なるスキルをお持ちですね。代表の岡田さんが声をかけてチームを組んだのですか?

岡田:実は副代表の川原が「DCONに出たい」と言って、コンテストに出場することを目的に集まりました。途中から本格的に介護の事業を作ろうと方針を転換して、僕が代表に就任しました。

元々は別の事業を考案されていたのですか

岡田:第一審査はタクシー業界の安全につながる事業案を提出しました。正直なところ、これはパッと思いついた、ソリューションが先行してるタイプの案だったんです。でも、それだと本当に世界は変えられないし、起業はできないし、優勝はできないというところで、自分たちが本当に一番強い思いを持ってるのはどこかを考えたんです。
すると、親が介護士など、高齢者を支援したいという思いが強いメンバーが多いことが分かって、介護業界に目をつけたのが、今回の開発のきっかけでした。

その後、実際に介護施設に足を運んでみたんです。クリスマスイブに初めて行ったのですが、介護士さんがデジタルに弱くて。自己犠牲で頑張ってくれてるような方も多いことを知り、「この人たちをデジタルの力で救いたい!」という強い思いが湧いてきました。その思いが現場目線での「ながらかいご」というソリューションに繋がったと思います。

今後の抱負をお聞かせください

岡田:ピッチでも伝えたように、介護士さんがやりたいことに専念できる、人と人との繋がりを最大にする、このミッションとビジョンを叶えるべく、ここがスタート地点だと思って、まずはここから本当に起業できるように準備していきます。

起業するということはお客さんがついてくるということなので、このお客さんを満足させて、本当に介護現場を良くしていきます。

このミッションビジョンを叶えるためには影響力がとても強くないとできないと思います。ですので企業としてどんどん大きくなって、日本全体に影響力のあるようなそんな会社にNAGARAを育てたいと思っております。

この記事を書いた人:山田みかん
プロフィール:元テレビ記者。高専OBの起業家と出会い「高専の魅力」を発信したいと独立。現在は高専OBOGや高専教諭にアドバイスをもらいながら、報道機関のDXシステムを開発している。